岸田政権ではGX推進をする方針を立てて取り組みを進めています。投資による資産形成を進める上ではGX投資を検討した方が良いと考える人もいるでしょう。
GX投資は現状の日本の状況を考えたときに本格的に取り組むべきなのでしょうか。この記事ではGXとは何かを説明した上で、GX投資を資産形成の方法にするべきなのかどうかを多角的に解説します。
目次
岸田政権が推進するGX
GXは岸田首相によって国として積極的に推進する方向性が示されています。
まずはGXの概要や政府の取り組み状況と投資の関係について見ていきましょう。
GXとは
GXとは「Green Transformation」の略です。DX(Digital Transformation)やSX(Sustainability Transfomation)と並んで日本を中心にして使われていて、アイデンティティとも言える概念になっています。
GXとはグリーン=自然を大切にして地球環境を保護しながら、人の豊かな生活を育めるようにするための変革をそのために必要な活動です。
産業革命後の世界では石油や石炭などの化石燃料に頼る文化を築き上げてきました。エネルギー源として化石燃料は燃やせば多量のエネルギーになる点で優れています。
しかし、環境面では燃焼に伴って二酸化炭素が排出されるため、地球温暖化の原因になっています。
GXは化石燃料に頼らずに環境負荷の小さいクリーンなエネルギーを活用するための革新的な取り組みです。カーボンニュートラルを2050年に実現することを日本では目指しています。
二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量に匹敵する吸収量も確保し、地球環境を守りながらも産業の発展を進めることを目指しています。GXは環境という観点から経済社会システムの変革を進める取り組みです。
GXに対する政府の取り組み
GXは2022年7月に岸田首相を議長とするGX実行会議の設置を皮切りにして政府が積極的に先導する動きを示しています。
GX実行委員会では日本でエネルギーを安定供給できる脱炭素経済・社会にするために産業構造を変革するための方向性を10年間のタイムスパンで検討して方針を立てました。2023年8月の時点で第7回の会議が実施されていて、GX実現に向けて取り組みを進めています。
GXグループは経済産業省が2022年1月に構想を取りまとめ、2023年度に活動を開始した産官学連携のGX推進グループです。対話、共創、実践をキーアクションとして重視し、カーボンニュートラルを目指す取り組みを進める組織として活動を始めています。
適格カーボン・クレジットWG、2023年度 GX経営促進WG、GX人材市場創造WGを組成して取り組みを積極的に開始した段階です。
GX投資について
2023年10月3日に岸田首相は投資家向けの国際会議おいて、GX投資について言及しています。
GX投資に世界中の投資家が参画できるようにするために、金融庁に投資商品を充実させるための検討会議を2023年内に新設すると表明しました。
日本だけでなくアジアのGX投資を促進できるようにするために官民による会議体も2024年に設立する方針を立てています。
岸田首相はGXが日本の投資機会として重視しています。幅広い投資家層にとって魅力のある投資商品を開発・提供することでGXに参画する世界を実現することを目指しているのが現状です。
GX投資を資産形成手段として選ぶべきか
GX投資の機会が広がることを受けて資産形成の方法として投資に取り組むべきなのでしょうか。
GX投資について掘り下げて考えてみましょう。
カーボンニュートラルな社会の形成に貢献できる
GX投資はカーボンニュートラルでサステイナブルな社会を築き上げることに貢献できます。
GXの取り組みをする企業に投資し、地球環境を維持改善することに資金的に寄与してより良い環境で生きていけるようになる可能性を切り開けるでしょう。
日本だけでなく他国の支援にもなる
岸田首相は発展途上国への投資を視野に入れています。GX投資は日本だけでなく他国への投資になり、支援にもなります。
他国の成長によって経済発展が生まれる可能性もあるでしょう。
長期的には成長する投資ができる可能性が高い
GX投資は長期的な視野では成長する企業への投資によって利益を生み出せる可能性があります。
GXには継続的な取り組みが必要なので、資産形成方法としては長期的な視点で投資することが必要です。
GX構想が生まれただけで明確になっていない
GXは構想が生まれて取り組みが始められた段階です。企業ではGX構想が生まれる以前からサステナビリティの実現やSDGsの達成を目指してGXに該当する取り組みを進めてきました。
カーボンニュートラルのための製品開発をしたり、自社発電を始めたり、二酸化炭素排出量の削減に取り組んだりしています。投資をする上でどの企業がGXを牽引しているかがまだわかりにくい状況にあります。
資産形成になるGX投資を見出すのが難しいのが現状です。
地方での取り組みへの着目も重要になる
GX投資では地方活動にも目を光らせることが重要です。国がGXを推進していることを受けて、地方自治体におけるGXの取り組みも始まりました。
例えば、北海道では「Team Sapporo-Hokkaido」のコンソーシアムを2023年6月23日に発足しました。産官学の21機関による構成で再生可能エネルギー分野への投資を中心とする取り組みを進めています。
このような動きによってGX投資のあり方が変化する可能性にも注意して資産運用をすることが必要です。
GX投資に取り組むときの注意点
GX投資にはまだ不透明さがあります。資産形成にGX投資を活用する際にはリスクがあるので注意しましょう。
GX投資は社会貢献の様相が強い
GXは地球温暖化を中心とする環境問題に注目している様相が強いため、GX投資も社会貢献としての意味が大きいのが注意点です。必ずしもGXに取り組む企業の株式や債券に投資したからといって、資産形成になるとは限りません。
GXはDXとは違って競争力獲得を最大の目的にはしていないからです。企業としても社会的責任を果たすために自社投資をしてGXに取り組む可能性があります。
利益よりも社会貢献という様相を呈しているので資産形成を目指すときには注意が必要です。
GX投資×安定的な資産形成が必要
GX投資は地球環境の保持改善に重要な投資になります。ただ、資産形成を並行して安定的に進められなければGX投資を続けることはできません。
自分の生活資金を切り詰めても投資することが難しくなる場合もあります。GX投資を通して世の中に貢献したいという志を持っているなら、余剰資金をGX投資にすべて使用せずに資金形成も並行して進めることが大切です。
安定して着実な資金形成ができる投資をして、GXも自分の生活も支えていきましょう。
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まとめ
岸田首相によってGX投資の推進が図られるようになり、投資家はGX投資に取り組むべきかどうかを判断する必要が生まれています。
地球環境を保護していくためにはGX投資をして企業を支えていくことが大切です。ただ、GX投資に傾倒すると資産形成に支障をきたすリスクがあります。
自分の生活が苦しくなってしまってはGX投資を通して社会貢献をすることもできません。GX投資は安定的な資産形成と並行して進めることが大切です。
今後のGX推進の様子を見ながら、リスクヘッジ資産も運用して資産を築き上げていきましょう。