2024/02/27

金地金の贈与税対策の方法は?プール共有型金資産による方法も解説

金地金の贈与税対策の方法は?プール共有型金資産による方法も解説

金地金を家族や他人に譲り渡すときには贈与税がかかります。将来的に自分で売却するよりも、他の人に譲りたいと思っているときには税負担は悩みの種になります。

金地金の贈与税対策について知りたい人も多いでしょう。この記事では金地金の贈与税の詳細と、節税方法について紹介します。

金地金の安定した資産価値を生かす方法として、プール共有型金資産もおすすめです。贈与税対策にも使えるので、プール共有型金資産の魅力も説明します。

金地金(インゴット)にかかる贈与税

金地金を家族や知人に渡すと贈与税を納める義務が発生します。暦年贈与では1月1日から12月31日までの1年間を単位として基礎控除を認めています。

1年間で110万円を贈与財産の合計額から引くことが可能です。その残額に対して税率表に基づいて贈与税を計算して納税することが義務付けられています。

金地金の贈与では他の財産の贈与と合わせて考えることが必要です。1,000万円の金地金と、5,000万円の住宅を同じ年に贈与されたときには、合計で6,000万円の贈与を受けたことになります。

贈与税は累進課税になっているため、金額が高くなると税率が上がります。贈与のときには年間で受け取る資産全体を考慮することが必要です。

贈与の税率表は一般贈与財産と特例贈与財産に分けられています。それぞれの場合について金地金のみ譲り受けたときの贈与税がどの程度になるのかを見ていきましょう。

特例贈与財産

特例贈与財産は1月1日時点で18歳以上の人が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた財産です。贈与する相手として以下のような人を選ぶと、相手に贈与税を納める義務が発生します。

  • ・18歳以上の子
  • ・18歳以上の孫
  • ・18歳以上のひ孫

特例贈与財産の場合には贈与税の税率が軽減されています。

以下のように基礎控除を適用した後の課税価格に対して、税率と控除額が定められています。

基礎控除後の
課税価格
税率 控除額

200万円以下

10%

なし

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1,000万円以下

30%

90万円

1,500万円以下

40%

190万円

3,000万円以下

45%

265万円

4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

例えば、1,000万円の金地金を親が子に譲った場合には、子は譲渡税を納める必要があります。

この場合には以下のように譲渡税を計算できます。

譲渡税の課税価格 = 1,000万円 - 110万円 = 890万円

譲渡税 = 890万円 × 30% - 90万円 = 177万円

一般贈与財産

一般贈与財産は特例贈与財産に該当しない贈与財産です。

以下のような人に贈与すると、相手は一般贈与財産の税率表に基づいて贈与税を納めなければなりません。

  • ・配偶者
  • ・親
  • ・18歳未満の子・孫
  • ・兄弟姉妹
  • ・他人

一般贈与財産の場合には以下のように税率表が定められています。

基礎控除後の
課税価格
税率 控除額

200万円以下

10%

なし

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,500万円以下

45%

175万円

3,000万円以下

50%

250万円

3,000万円超

55%

400万円

例えば、1,000万円の金地金を配偶者に譲った場合には、配偶者が納める譲渡税を以下のように計算できます。

譲渡税の課税価格 = 1,000万円 - 110万円 = 890万円

譲渡税 = 890万円 × 40% - 125万円 = 231万円

金資産の贈与にも税金の対象

金地金だけでなく他の金資産の贈与でも納税の義務があります。

以下のような金資産を譲り受けたときには贈与税を計算して納めなければなりません。

  • ・金貨
  • ・純金の時計やアクセサリー
  • ・金の仏具
  • ・金証書
  • ・金投資商品

金地金の贈与税対策方法

贈与税は税率が高いのが悩みになります。金地金を贈与するときには節税が課題です。金地金の贈与税対策として押さえておきたいのが以下の2つのポイントです。

  • ・金地金をまとめて贈与すると税金が高い
  • ・110万円以下の贈与なら税金がかからない

この仕組みを考慮しながら、賢く金地金を贈与する方法を紹介します。

金地金を精錬加工して分割する

金地金の贈与で問題になるのは単価が高いことです。1つの金地金を贈与しただけで贈与税の税率がかなり高くなる場合もあります。

例えば、金の相場が1グラム1万円のときには、標準的な1キログラムの金地金の価格は1,000万円です。一般贈与財産として贈与する場合には、基礎控除を適用すると890万円が贈与価格で40%の税率になります。

しかし、1キログラムの金地金を精錬加工して100グラムごとに分割したらどうなるでしょうか。100グラムの金地金は100万円なので、贈与しても基礎控除内になります。

1年に1つまでなら誰に譲り渡しても贈与税がかかりません。

ポイント

10年間かければ合計で1キログラムの金地金を税金なしで渡せます。

精錬分割は金地金の贈与税対策として効果的です。

相続時精算課税の特別控除を適用する

贈与税は通常は暦年贈与になりますが、税務署に届出をすれば相続時精算課税を選択できます。相続時精算課税では申請したときから特別控除を合計で2,500万円まで受けられます。

1年間に贈与を受けた財産の合計から基礎控除として110万円を差し引き、超えた分に対して特別控除額を適用可能です。今年500万円の超過した場合には、翌年は2,000万円まで特別控除ができるという累積式になっています。

ポイント

特別控除がなくなると贈与税は一律20%の税率になり、相続が発生した時点で過不足分を精算する仕組みです。

相続時精算課税は60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子または孫など贈与するときに選択できる制度です。まとめて金地金を子や孫に贈与したいときに適しています。

プール共有型金資産に切り替える

金地金を保有しているのが安定資産の金現物を持ちたいという理由なら、プール共有型金資産に切り替えましょう。プール共有型金資産はグラム単位や円単位で金地金を保有できます。

金証書として金の純度や重量を保証する書類が発行されるのがプール共有型金資産の特徴です。贈与のときには業者とのやり取りが必要になりますが、金の所有者を移管することはできます。基礎控除内にできるように金を購入すれば、贈与税なしで金資産を譲り渡すことが可能です。

既に金地金を持っていて切り替える場合には、金地金を売却する時点で譲渡所得が発生します。しかし、プール共有型金資産では購入手数料や消費税はかかりません。余計な費用を抑えて贈与しやすい資産にする方法として優れています。

ポイント

贈与しやすい金資産を探している段階の人にはプール共有型金資産が特におすすめです。

売却による譲渡税なども気にする必要なく、すぐに金資産を購入して贈与できる資産を手に入れられます。

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まとめ

贈与税は金地金を譲り受けたときには納める必要があります。基礎控除額以下であれば贈与税はかかりませんが、評価額が大きいと高い税率になってしまうので注意が必要です。

金地金の贈与では可能であれば分割して年間の贈与額を減らすことが効果的です。金額が大きいときには金地金を分割したり、プール共有型金資産に切り替えたりする対策も検討しましょう。

金地金の資産を家族に譲り渡すことを考えているなら、あらかじめ贈与税に対策できるように資産を整えておくことが大切です。