金投資をしている人は老後に備えて生前整理をすることが重要です。生前整理は必ずやらなければならない手続きではありません。
しかし、遺族にとって助けになるだけでなく、自分の今後の人生を豊かにすることにもつながります。金投資どころか投資をしていない人でも生前整理をする傾向が強くなっています。
この記事では金地金や金ETFなどの金投資をしている人にとって生前整理をするメリット・デメリットと、おすすめの生前整理の方法を解説するので参考にして下さい。
目次
生前整理とは
生前整理とは遺産相続を想定して自分が生きているうちに財産の処分や目録の作成をすることです。自分にも遺族にもいらない資産は処分し、自分の今後の生活や、遺族の将来に必要な資産を整理整頓します。
長く生きているうちに自分の財産をすべて把握できなくなっていることもあります。
財産を一望して身辺整理をするのが生前整理の基本です。
生前整理では遺言書を書き、どの資産を誰に相続させるのかを明確にする場合もあります。また、エンディングノートを書いて今までの生活についての追憶をしたり、遺産分割協議での財産分与の方針について提案をしたりすることもあります。
遺品整理で相続財産の全体像がわからず、相続手続きを進められずに困るケースも少なくありません。自分が亡くなったときに相続トラブルが起こらないようにする対策も生前整理の重要な役割です。
金投資で生前整理をするメリット
金投資をしている人が生前整理をすると自分にも親族にもプラスになるのでおすすめです。
ここでは一般的な生前整理のメリットも考慮しながら、金投資をしているときに生前整理をするメリットを説明します。
必要な財産を整えられる
生前整理は財産をきれいに整えられるのがメリットです。自分にとって今後の人生に必要な資産をわかりやすく整理したり、相続するための資産を分けておいたりすることが可能です。
子孫にとって有益な資産として金投資を続ける、あるいは自己が楽しむための現金を用意するために金資産を一部売却するといったことを考えられます。
相続財産の全貌もわかるので、不要なものは気軽に処分できるのもメリットです。
金資産の所在が子孫に明確になる
金投資をしていると相続が発生したときに子孫が財産の所在がわからなくて困る場合があります。金地金を持っていると子孫が知らないまま相続税を申告してしまい、後になって見つかって税金を納めることになるトラブルもあります。
生前整理をしておくと金資産を含む相続財産を目録として整理できるので、トラブルが起こることがほとんどありません。
- ・金現物
- ・金証書
- ・証券などの所在
- ・金地金を預けている金庫の情報
- ・純金の腕時計
- ・ゴールドネックレスなどの金製品
金現物、金証書、証券などの所在や、金地金を預けている金庫の情報などをまとめておくと、遺族が財産をすぐに把握できます。
純金の腕時計やゴールドネックレスなどの金製品についても後になって見つかることがよくあるので、存在や所在を明確にしておくとトラブルが減ります。
金を財産として持つべきかを判断できる
生前整理をすると金を財産として持つべきかどうかを冷静に判断できます。負債を抱えている場合には金を処分して返済した方が子孫にとっては負担が少なくなります。
今後も価値が伸びる可能性がある資産を多く残したいなら、他の資産を金にしておくのも良い方法です。
自分の死期が近づいていると感じているときに、今後の金相場の動きが思わしくない場合には、今の時点で処分して現金にしておくのも賢い方法でしょう。
生前整理をすると財産の全貌がわかるので、このような冷静な判断で金の財産量を制御できます。
金投資で生前整理をするデメリット
生前整理にはデメリットもあるので、あえて今はやらないという選択肢も考えた方が良いでしょう。
ここでは金投資をしている人が生前整理をするデメリットを、一般的な生前整理の問題点との関係も合わせながら説明します。
大きな労力や時間がかかる
生前整理は労力や時間がかかるのがデメリットです。資産が多い人ほど全貌を把握して取捨選択するのに苦労があります。
複数の金投資をしている人は、それぞれの投資にいくらかけていて、どのくらいの資産を持っているかを整理するだけでも大変です。
金以外の資産との兼ね合いを総合的に把握するまでに何ヶ月もかかることもあります。
処分しすぎてしまいやすい
生前整理では処分しようという意識が強くなり、不要そうなものは売ったり捨てたりしてしまいがちです。必要なものをうっかり捨ててしまってまた購入するということもよくあります。
資産も売却して現金にしたものの、冷静になるとまだ持っていた方が良かったと思って買い戻すことも稀ではありません。
金についても処分して後悔し、再度購入する場合もよくあるので注意が必要です。
投資判断が求められる
金投資をしているときの生前整理では投資判断が求められます。金を処分すべきか、むしろ他の資産を金にすべきかという投資判断をして、資産を多く残せるようにしたいと思うからです。
判断を見誤ってしまうと後悔します。生前整理では金の投資資産は把握するだけで手を付けず、投資判断は後回しにするのも賢い方法でしょう。
金投資をしている人におすすめの生前整理方法
金投資をしている人が生前整理をするときには何から手を付けたら良いか迷いがちです。
ここでは生前整理をするときのおすすめの方法を紹介します。
通常の資産は遺品整理業者に協力を求める
まず、金以外の通常の資産は遺品整理業者に相談して生前整理を進めるのがおすすめです。遺族が遺品整理をするときにわかりやすく整理したり、不用品を処分したりしてくれるので便利なサービスだからです。
金のように特殊な資産についてはノウハウがないことが多いので自分で整理し、一般的な資産は遺品整理業者に任せましょう。
流動性の高い金資産を中心にする
金は流動性の高い資産に整理しましょう。金の財産を相続するときにトラブルになりにくいからです。
金投資の資産を相続するときには金額が大きくなりがちです。他の相続財産に比べて比重が高く、法定相続をするには現金を払って相続しなければならない場合もあります。
流動性の高い金資産にすれば遺産分割が難しいときにも現金にしてから分割することが容易です。
流動性が高いプール共有型金商品
金資産を分割して生前贈与を始める
金資産は分割するのがおすすめです。金資産の遺産分割をしやすくできるからです。金のインゴットが一本しかないときに10本に分けておくと、配偶者が4本、子3人が2本ずつといった分割をスムーズにおこなえます。
生前贈与をして節税対策をすることも可能です。生前整理を始めるタイミングが早ければ、大量の金投資の資産を生前贈与でうまく分配できます。
生前贈与を始めるタイミングはいつでも構いません。生前整理をして資産の全貌がわかった時点で、自分の今後の生活に不要な分は早めに分割して贈与を始めましょう。
まとめ
生前整理は金投資をしている人にとって重要なプロセスです。自分が所有している財産の全体像がわかり、不要なものは処分して、必要なものは整理整頓できます。
金投資では遺産分割に備えて流動性が高い資産に分割するのがおすすめです。
生前整理するときには、金の投資資産を自分で整理することが大切です。一般的な資産は遺品整理業者に任せれば適切に整理できます。
しかし、金については資産を増やすためのノウハウがないとより良い整理ができません。金の取引タイミングを見計らうためにも早めに生前整理を始めましょう。