円安が続いて輸入産業は大きな打撃を受けてきました。12年ほど前には米ドル円の為替レートは半分くらいの状況だったことを考えると、円安の影響が大きいことは明らかでしょう。海外ビジネスだけでなく、個人が投資をする際にも米ドル円の影響は大きいので注意が必要です。
2024年7月から8月にかけて、米ドル円の為替レートには新しい動きが起きました。金相場は為替レートと深いかかわりがあるので、資産運用ではアクションを起こすことが大切です。
この記事では米ドル円の為替レートが大きく変動したときに金投資で考えるべきことを解説します。
目次
【2024年】米ドル円の高騰・下落と今後の投資の考え方
米ドル円の為替レートは2024年7月には160円を超える円安になっていました。
日米における金融政策の影響や米国雇用統計の発表での失業率の上昇などのさまざまな影響を受けて、米ドル円の為替レートは一時141円近くまで下がりました。数年前には100円程度だった状況を考えるとまだ円安の状況です。ただ、世界経済の変化によってだんだんとこのくらいの為替レートがスタンダードになりつつあるとも考えられるでしょう。
今後、投資を考えるうえでは一時代前の米ドル円の為替レートに戻ると安易に考えるのは正しいとは言えません。
今から投資を始めるなら、現状のスタンダードを考えて方針を立てることが大切です。
金相場の基礎
金相場と米ドル円の為替レート関係を理解するには金の価格について基礎を押さえることが必要です。金相場がどのようにして決まるのかを簡単に確認しておきましょう。
世界の金相場は米ドル建て
金相場は世界市場で動いています。金は米ドル建てで市場価格が決まっています。米ドル建ての金の価格はトロイオンス単位です。トロイオンスは31.1035gに相当します。
米ドルと金の相対価値によって金相場が決まるため、米国の経済が低迷したり、政治が不安定になったりすると金相場が上がるのが一般的です。
日本国内の金取引は円建て
日本国内では通貨が円なので円建ての市場価格に換算して取引します。日本ではトロイオンスに慣れていないこともあり、標準的に用いられる重量単位のグラムを使用して円建ての金価格が計算されています。ただ、トロイオンスとグラムは一対一の関係にあって比率が変動することはありません。
トロイオンスあたりの米ドル建ての金価格から、グラムあたりの円建ての金価格に変換するときに影響するのは米ドル円の為替レートです。
円で金投資をする際には為替レートの影響を直接受けるので、レートの変動に注意して取引することが重要です。
米ドル円の為替レートと金相場の関係
米ドル円の為替レートと金相場は相関関係があります。為替レートの変動が金相場にもたらす影響を円安ドル高と円高ドル安のときに分けて見ていきましょう。
円安ドル高=金相場の上昇
円安ドル高になって米ドル円の為替レートが上がっているときには金価格が上がります。1ドルが100円のときと150円のときで比較してみるとわかりやすいでしょう。
仮に世界の金相場をグラムあたりの金額に変換したときに80ドルだったとすると、日本円では米ドル円が100円なら8,000円、米ドル円が150円なら12,000円です。円安ドル高になると日本の金相場は上昇することがわかります。
円高ドル安=金相場の下落
円高ドル安になったときには円安ドル高の場合と逆転の現象が起こります。
米ドル円の為替レートが150円の状況から円高ドル安になって100円になったとすると、金が1グラムあたり80ドルだった場合には、日本市場では1グラムあたり12,000円から8,000円に金相場が下がります。
金投資で米ドル円の為替レートに着目すべきポイント
金投資では金そのものの価値だけでなく、米ドル円の為替レートによって相場が変動します。円で取引をするときには為替レートに着目して取引をすることが重要です。金投資では為替レートにどのように着目して取引をしたら良いのでしょうか。
円安ドル高になったら売る
金投資で利益を出す基本は金が安いときに購入して、高くなったら売却することです。金相場が2倍になったら資産も2倍になります。取引の際には手数料やスプレッドなどの影響で目減りする分があるため、手数料やスプレッドをカバーできる利益が出るタイミングで売却することが必要です。
米ドル円の為替レートが上がって円安ドル高になったら売り時です。円安ドル高になると円建ての金価格は高くなるからです。
円高ドル安になったら買う
円高ドル安になったときには円建ての金価格は低くなります。円の価値が高い状況なので金を安く購入できるチャンスです。円高ドル安になったら金の買い時と捉えて購入を検討するのがおすすめです。円高ドル安が終わって円安ドル高になったときに売れば利益になります。円安ドル高になると円建ての金価格は高くなるからです。
米ドル円の為替レートを見て金投資をするときの注意点
米ドル円の為替レートを見ると金投資で利益を得やすくなります。ただ、米ドル円の為替レートに着目して金の資産運用をするときにはリスクを伴うので注意が必要です。
ここではリスク要因を説明しながら、金投資を成功させるための基本を紹介します。
変動の速さを考慮して流動性が高い方法で取引する
米ドル円の為替レートは急速に変動する場合があります。数時間のうちに急騰や急落が起こる場合もあるため、変動に応じて取引できるように流動性を重視することが大切です。
米ドル円の為替レートが急騰したときには、一般的に反発して下落が起こります。レートの急騰による円安になったピーク時点で金を売れれば理想的です。しかし、流動性が低いと希望のタイミングで売れず、利益を逃してしまう可能性があります。
売りたいときに売れることは利益を最大化するうえで重要なポイントです。
為替レートが下がったときに買えなくても利益を得るチャンスを失うことになるので、速やかに購入できる方法を選ぶことも重要です。
ドル建ての金相場の動向を加味する
金相場の動向はドル建てと円建ての両方で把握することが重要です。
世界の金市場はドルで取引されているので、通貨に対する相対価値はドル建てで決まります。世界市場の相場に米ドル円の為替レートを適用したのが円建ての金相場です。ドル建ての世界市場の金相場の変動を加味しなければ、相場の動きを正しく把握することはできません。
円高ドル安になっても、ドル建ての金相場が高騰したときには買い時ではなく売り時になる可能性があります。
金相場は長期的には上がる傾向がある
金相場は長期にわたって上がり続けてきました。長期的な視点では金相場は上がる傾向が続いているので、金を保有していれば資産価値が高まると期待できます。ドル建てでも円建てでも価値の上昇が続いているのは同じです。相場がある程度下がったチャンスに金を購入して、ずっと保有するのも賢い考え方でしょう。
円安ドル高になると売りたいと考えるのがもっともなことですが、金相場は上がっていくので、売却時よりも安値で買い直すチャンスを手に入れるのが難しい可能性があります。すぐに現金が必要な場合や、他の投資資金を用意したい場合には円安になったタイミングで売却するのが賢い方法です。
売却によって受け取った資金の用途を考えてから金を売ることが重要です。
もし用途がないなら保有し続けるのが合理的でしょう。
まとめ
米ドル円の為替レートは日本での金相場に直接影響します。金の市場価格は米ドル建てで決まっているからです。円建ての金相場は円安ドル高なら高くなり、円高ドル安なら安くなります。
金投資をするときには世界市場の金相場と米ドル円の為替レートを考慮して売買の方針を立てることが重要です。
金相場は長期的には上がり続けているので、円安になっても焦って売らないのも賢い戦略です
金を売るときには資金用途を考えてから決断しましょう。
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