ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は投資目的での利用が進んでいます。日本では暗号資産の規制や税金の仕組みが当初から課題として浮上していました。
金融庁では日本の規制状況を鑑みて見直しを検討するという情報がブルームバーグから報じられました。暗号資産投資をしている人やこれから参入を検討していた人にとっては、規制や税制の変化は大きな影響があります。
この記事では金融庁の方針について、特に税制に着目して考えるべきことを解説します。現状の暗号資産の税金のあり方もQ&A形式で紹介するので、資産運用の参考にしてください。
【2024年】金融庁の暗号資産に関する見直しについて考えるべきこと
金融庁は2024年8月31日に税制改正要望を公表し、暗号資産についても言及しました。暗号資産の要望は経済産業省との共同要望になっています。
現状では、時価を期末に評価して評価損益を課税対象としていますが、暗号資産の継続保有する際にキャッシュフローがなくても課税される仕組みになっている点を指摘しています。
資金決済法から金融商品取引法の管轄下に変わる可能性
金融庁の関係者からの話について、ブルームバーグの情報では暗号資産を金融商品取引法の規制下に置く可能性があると視差されています。
現状では暗号資産は資金決済法によって規制されていますが、投資家の保護の観点で金融商品取引法の適用が必要があるかどうかを検証するという方針を立てています。
金融商品取引法の対象になった場合の変化について公表されているわけではありませんが、暗号資産投資に大きな影響があることは否めません。
税制の変化による投資家の対応の必要性
暗号資産の税制も合わせて変化する可能性があります。暗号資産の取引利益は現状として総合課税の雑所得になります。
投資目的での暗号資産運用が増えていることを踏まえて、JVCEA(日本暗号資産取引業協会)とJCBA(日本暗号資産ビジネス協会)は税制改正の要望書を取りまとめて金融庁などに提出しました。株式投資などと同様に申告分離課税を導入することも提言しています。
課税のタイミングなどについても要望をしているため、提案が認められて税制が変わったときには対応が必要になります。
現状の暗号資産の税金に関するよくある質問
暗号資産は税制的に不利な場合が多いのが現状です。今後、暗号資産の規制や税制が変わったときにメリットがあるかどうかを判断するには、現状を把握する必要があります。
ここでは暗号資産で資産運用をしたときによくある質問に回答します。
暗号資産の税金は一般的な投資と同じですか?
暗号資産の税金は株式投資や投資信託などのように申告分離課税で一律の20.315%の税金が課されるわけではありません。日本の税制では、個人の場合には通常は総合課税の雑所得に分類されます。給与所得や不動産所得、譲渡所得などと合わせた総額に対して税率や控除額が決まる仕組みです。
暗号資産投資で大きな利益を得たときには所得税の税率も高くなる可能性があります。
暗号資産の取引による所得はどのように区分されますか?
暗号資産取引の所得は、一般的には雑所得に区分されます。暗号資産によって得られた利益は総合所得に該当する他の所得と合わせて、累進課税による税金が課されます。
ただし、300万円を超える収入があった場合には、暗号資産取引の帳簿書類が保存されているときには事業所得として取り扱うことが可能です。
事業の中で暗号資産の購入や、暗号資産による決済をしたときには区分が異なる場合があるので注意しましょう。
暗号資産の利益はいつ計上すれば良いですか?
暗号資産の利益は、売却による引き渡しがあった日、または暗号資産の売却の契約をした日を基準にして計上年を決めます。例えば、2024年12月31日に暗号資産を売却して法定通貨を受け取ったときには、2024年の利益として計上します。
2024年12月31日に契約は成立したけれど、当日の取引ができず2025年1月1日以降になった場合には、2024年、2025年のどちらの利益として計上しても問題ありません。
暗号資産を売却したときに税金はかかりますか?
暗号資産を売却して所得があったときには所得税や住民税がかかります。必要経費を加味して、所得がなかった場合には税金はかかりません。
暗号資産で商品を買ったときの税金はかかりますか?
マーケットプレイスなどで暗号資産による支払いをして商品を購入した場合には、購入時の価格と譲渡価額の差額が所得になり、プラスの場合には税金がかかります。購入・売却の際のレートによっては税金がかからない場合もあります。
暗号資産を別の暗号資産に交換すると税金がかかりますか?
ビットコインでイーサリアムを購入したときのように、他の暗号資産に交換したときには円換算で交換先の暗号資産の購入金額から、支払いに使用した暗号資産の差額が所得になり、税金を納めなければなりません。
保有していた暗号資産が分岐したときには税金がかかりますか?
保有していた暗号資産が分岐し、分岐後の暗号資産を取得した場合には通常は税金がかかりません。分岐前と分岐後で資産価値が同じになるように新しい暗号資産が分配されるため、所得はないと判断されます。
暗号資産をステーキングやレンディングをしたときに税金がかかりますか?
暗号資産のステーキングやレンディングによって取得したときには、取得した分による利益が所得になります。取得時点での相場に基づいて時価で所得の金額が計算されます。
暗号資産の確定申告で必要経費にできるものは何ですか?
暗号資産の取引に必要だった支出は必要経費にできます。
暗号資産の情報を得るのに必要だったセミナーへの参加費や、書籍の購入費、情報をまとめるためのノートや鉛筆などの購入費も必要経費です。インターネットの利用料も他の目的での利用と区別できれば按分して必要経費にできます。
暗号資産取引の損失は損益通算できますか?
暗号資産取引は給与所得、不動産所得、譲渡所得などとの損益通算はできません。
同じ総合所得の雑所得に該当する取引で利益を得ていた場合には、暗号資産取引による損失を損益通算できます。
暗号資産を相続したときには税金がかかりますか?
暗号資産を相続したときには相続税がかかります。他の相続財産と合わせた合計額に対して控除と税率を適用して相続税を計算する必要があります。
生前贈与を受けた場合にも贈与税または相続税を納めることが必要です。
暗号資産の譲渡には消費税がかかりますか?
暗号資産を国内の暗号資産交換業者を通して譲渡したときには消費税がかかりません。消費税法では支払い方法に該当するものの譲渡は非課税としているからです。
国内の暗号資産交換業者を利用した場合には、取引は非課税になります。
まとめ
暗号資産の規制・税制が見直される可能性が高まり、資産運用で暗号資産を選ぶべきかどうかを判断するのが難しい状況になっています。
暗号資産の税制緩和を求める関連団体の動きはありますが、投資家のリスクを考慮して規制が強化される可能性もないわけではありません。暗号資産の先行きは不透明なので、あえてリスクを取らない資産運用を検討するのがおすすめです。
暗号資産を運用している場合には、税制対応を考慮して資産移動を検討しましょう。
暗号資産の購入・運用を検討していた場合には、方針が定まるまで待つか、他の資産にも投資してリスクヘッジを徹底するのが合理的です。
規制や税制の変化は多くの投資家が資産を動かすきっかけになります。リスクの高いタイミングは避けて、安全な資産として保持するのがおすすめです。
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