ディープテック投資は資産運用のアプローチの一つとして注目されています。ディープテック投資は機関投資家などの事業者がおこなうことが多かったですが、個人で投資先を検討するときにもディープテックに着目して投資をする人もいます。
今後の資産運用ではディープテック投資をするべきなのでしょうか。この記事ではディープテック投資の概要と、個人の投資における価値を解説します。
目次
ディープテック投資とは
ディープテック投資とはディープテックと呼ばれる科学や技術の研究や開発などに取り組む企業に投資する方法です。ディープテックに携わる企業には認証制度があるわけではありません。時代の変遷と共にディープテックに該当する企業も変わっていきます。
まずはディープテックの概要と投資の意味を見ていきましょう。
ディープテックとは
ディープテックとは科学的発見によって支えられている高度な技術のことです。主に社会課題を解決できる可能性があるくらいの大きな影響力があると想定されている技術を指します。
ただ、ディープテックは必ずしも社会での応用を目的として確立されているとは限りません。潜在的には社会に大きなインパクトを与えられる可能性を秘めていても、まだ基礎研究の段階で応用に至っていないこともあります。
社会的に影響を及ぼす可能性があるかどうかがまだ認識されていない段階のディープテックもあります。
ディープテックの主な分野
ディープテックとして近年注目されてきた分野は多数あります。例えば、以下のような分野はディープテックとして投資でも話題になった分野です。
ディープテックの主な分野
技術は世の中で当たり前になってしまうとディープテックではなくなります。今はディープテックとして話題になっていた技術が、数年後にはディープテックとは呼ばれなくなることもあります。
ディープテック投資の2つの意味
ディープテック投資には2つの意味があります。ディープテックはまだ生まれ立てで産業としては確立されていない場合がほとんどです。
ディープテックを産業応用しようとしているスタートアップへの投資が典型的なディープテック投資です。個人では投資することが難しいですが、ベンチャーキャピタルなどによって有望なディープテック企業には投資がおこなわれています。
個人でもクラウドファンディングなどによる募集があれば、初期からディープテック投資をすることが可能です。
もう一つはスタートアップから脱却して上場したベンチャー企業への投資です。ディープテックの上場株式や関連する投資信託を購入して投資します。ディープテックがある程度確立されて上場が認められた時点での投資になるため、今後の成長を期待できる投資のタイミングです。
ディープテックの個人投資における重要性
ディープテック投資が個人の投資で注目されるようになったのには理由があります。個人投資での重要性を確認しておきましょう。
イノベーションを起こしたら株価が急騰する
ディープテック投資はイノベーションが起こる可能性があるのが魅力です。社会を変革する大きなインパクトを出すと株価が急騰するでしょう。
大きな資産形成になるチャンスがあるのがディープテックのメリットです。
IPO株なら短期間で稼げる可能性がある
多くのディープテック企業はIPOをして上場企業になることを目指します。上場の時点でIPO株を購入すれば、上場後に大きく株価が上がる可能性があるのが魅力です。実際には上場後に株価が暴落しているケースもありますが、持続的に株価が上がっているケースもしばしばあります。
投資信託なら分野が確立されると安定上昇を期待できる
投資信託で特定のディープテックをテーマにした商品を選ぶと、その分野が繁栄すれば安定した基準価額の上昇を期待できます。今後、発展する期待が大きいディープテックを選んで投資信託を買えば、じっと待っていると価格がきっと上昇します。
ディープテック投資のリスク
ディープテック投資にはリスクがあります。どのディープテックも社会的な価値を生み出せるとは限らないからです。ここではディープテック投資のリスクを解説します。
スタートアップへの個別投資は倒産リスクがある
ディープテック投資の初期はスタートアップへの投資になります。スタートアップは経済的にギリギリの状況で経営をしていることが多く、個別投資をすると倒産して資産を失うリスクがあるのがデメリットです。
ベンチャーキャピタルすら失敗していることが多いので注意が必要です。
課題解決ができずに分野全体が終末に向かう可能性がある
ディープテック企業は技術開発を進めて事業として成立する仕組みを作り上げることが必要です。技術的に優れていたとしても、収益化できなければ企業は立ち行かない状況に陥ります。商用化が難しくて分野全体が終末に向かう可能性もゼロではありません。
ディープテックの実用化だけでなく、収益化も含めて可能性を見極めることが必要です。
ディープテック分野が繁栄しても自然淘汰が起こり得る
ディープテックの分野自体が繁栄したとしても、個別企業への株式投資では倒産のリスクがあります。分野全体は成功してもすべての企業が成功するわけではありません。
大きな成功を先に遂げた企業が台頭して、小さな企業は自然淘汰される可能性があります。
投資信託の運用リスクが高い
投資信託ではディープテック投資をするリスクが高いので注意が必要です。運用会社がディープテックへの理解が十分にできているとは限らないからです。投資信託では運用会社が適切に投資先を決めて資産を分配することが重要です。
新しい分野なので運用会社の理解が低いことがある点に注意しましょう。
ディープテック投資を始めるときのポイント
ディープテック投資を始めるときにはリスクを考慮しながら戦略を考えることが重要です。ここではディープテック投資を思い立った段階で押さえておくべき重要なポイントを紹介します。
徹底して企業分析をして株式を選ぶ
ディープテック投資をする企業を厳選することが重要です。注目されているディープテックなら、同じ分野で複数の企業が生まれてきます。それぞれの企業分析をして成長力がある企業を選び出すことが大切です。
実績も公開情報から確認して収益を安定して上げている企業を選びましょう。
専門性のある運用会社の投資信託を選ぶ
投資信託でディープテック投資をするときには運用会社の専門性が重要です。ディープテックにもITや医療などのさまざまな分野があります。興味のあるディープテックの分野で実績のある運用会社の投資信託を選ぶことが大切です。
ディープテック全般に対する実績も加味して、適切な運用ができる運用会社の投資信託を選びましょう。
多角的にリスクヘッジをする
ディープテック投資ではリスクヘッジが重要です。本命と思っていたディープテック企業が倒産したとしても問題ないと言えるくらいに安全性を重視したリスクヘッジをするのがおすすめです。
ディープテックは失敗するリスクが高いので、資金を全額投資しないようにしましょう。注目した分野内でのリスクヘッジだけでなく、株式相場全体が下がるリスクも考慮してヘッジ資産を持つことが大切です。
金は株式や投資信託とは違う現物資産なので、ヘッジ資産として盛り込むのがおすすめです。
まとめ
ディープテック投資は今後、社会課題の解決に重要な役割を果たす可能性がある科学技術への投資です。ディープテックの事業化を目指すスタートアップへの企業による投資と、上場後のディープテックベンチャーへの投資の2つがあります。
ディープテックは大きな成長を遂げる可能性があるのがメリットです。しかし、分野の衰退や企業の倒産などのリスクがあるので、リスクヘッジをする必要があります。
金は株式とは独立した資産なので、ディープテック投資をするときにはポートフォリオに組み込んでリスクヘッジに活用するのがおすすめです。
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