金の価格が日本で史上最高値を記録しました。2023年のゴールデンウィークの前後に大きな金相場の高騰が起こり、金投資に興味を持った人も多いでしょう。
この記事では2023年4月~5月における金相場の上昇について、実態と背景を詳しく解説します。金の史上最高値が更新され続けている状況から、今後の投資について考えた方が良いポイントも説明します。
金投資に興味を持っている人のために、これからどのような投資をすると良いかも解説するので参考にしてください。
日本円建てで金が史上最高値を更新
2023年になって日本での金の価格は史上最高値を更新しました。2023年4月末から5月初頭のゴールデンウィークの時期には連日のように金相場が上昇して話題になりました。
日本の金相場の指標としてよく用いられている田中貴金属工業の店頭小売価格では5月1日に前日比+184円の急騰を起こして9,649円に到達した後、連日のように価格が上昇しています。
5月10日時点では9,794円の史上最高値を記録しました。
史上最高値の更新は続く
2023年3月13日に9,000円台に到達して以来、日本円建てでの金の史上最高値は更新を続けています。
田中貴金属工業の店頭小売価格では4月14日に9,609円まで価格が上昇した後は相場が上げ止まりになっていましたが、5月に入って高値を更新して5月10日に9,794円まで上昇しました。
5月11日には反発を受けて9,686円に下がったものの、世界的には金相場の上昇が予想されています。これからも史上最高値の更新が続いていくと考えられる状況です。
米ドル建てでも高値を維持
金相場が上昇していたのは日本だけではありません。日本で史上最高値が更新された4月から5月初頭にかけて、金相場は米ドル建てでも高値になりました。
史上最高値を更新するのではないかという見解もありましたが、日本のゴールデンウィークの時点では米ドル建てでの金相場の史上最高値は更新されませんでした。
国際指標であるニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物価格では5月4日に1トロイオンス(約31.1グラム)あたり中心限月が2,085.4ドル、期近限月が2,072.0ドルでした。
中心限月では2020年8月7日の2,089.0ドルよりやや低かったものの、期近限月では史上最高値と一致していいます。
この前後の期間でも2,000ドルを超える高値が続いていたのは事実で、世界的に金相場が高騰している状況があります。
金が史上最高値を更新している7つの理由
金相場が史上最高値を更新するほどに高騰しているのはなぜなのでしょうか。さまざまな要因が重なっているので、代表的な要因を具体的に見ていきましょう。
新型コロナウイルス感染やウクライナ危機などが相次いでいるから
有事という認識が世界的に広まっているのが金が高値を更新している理由です。金は「有事の金」やリスクヘッジ資産と言われていて、政治・経済・金融の不安が募ると現金や証券を金にする投資家や資産家が多くなります。
2020年以降、新型コロナウイルスによるパンデミックやウクライナ危機といった不安材料となる問題が相次ぎました。有事という意識が大きくなり、安定資産の金を保有しようという動きが強まっています。
関連記事ウクライナ情勢長期化が金価格に与える影響は?
ロシアの金生産のシェアが広いから
ウクライナ危機に関連してロシアの金生産のシェアが広いことも理由の一つとして挙げられます。
ロシアの金生産の世界シェアは2022年では9.2%で、中国の9.3%に次ぐ第2位になっています。ウクライナ危機の影響を受けて、ロシアがどのように金生産を進めていくのかが不透明になりました。
金生産を増やして資金調達をする可能性もないわけではありません。しかし、ウクライナ危機の方に力を注ぎ、金の生産や輸出が低迷して世界的な供給量が少なくなるという懸念が抱かれています。
金融・銀行のシステムへの不安が高まったから
金相場の上昇には3月10日に起こったシリコンバレー銀行の経営破綻の影響もあります。シリコンバレーのベンチャー企業を支えてきたシリコンバレー銀行が倒産したことによりアメリカの金融・銀行のシステムに不安が生まれました。
さらにシグネチャー銀行も経営破綻し、信頼の国として知られるスイスでもクレディ・スイスの経営不安も浮上しました。金融・銀行のあり方について世界的に不安が生まれた結果として、現物資産として安心できる金が買われて高騰しています。
関連記事シリコンバレー銀行の経営破綻の影響から考えるべきこと
シンガポールや中国などの中央銀行による保有が進んでいるから
WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)の調査によると2023年1月から3月における統計では、金の需給について下方修正をしました。
2022年は1,136トンの買いと言われていましたが、今回の修正では1,78ドルになっています。
ただ、シンガポールで69トン、中国で58トンの購入があり、中央銀行による積極的な保有が進んでいます。中国人民銀行の保有量は5月7日の時点で2,076トンと見込まれています。
各国の中央銀行による保有によって需給のバランスが傾き、金の価格が上がっているのも事実です。
金の希少価値は持続的に高まっているから
金は遥か昔から価値が持続的に高まっているのも確かです。金は希少金属の一つで、輝かしく美しいことから装飾品として古代から使用されてきました。
近年では酸化されない安定性の高さや導電率などの物性面が注目され、電子機器にも貴重な金属として用いられています。金の埋蔵量は限られているので、需要の高騰を受けて希少価値が高まり続けているのも相場が上がっている理由です。
金の埋蔵量は現在、地球上で約5万トンといわれており、年間約3,000トンのペースで採掘されています。
暗号資産(仮想通貨)による影響を受けたから
ビットコインを代表とする暗号資産(仮想通貨)への投資が注目され、ビットコインはデジタルゴールドとも呼ばれました。金と同様に安定資産として持続的に価値が高まると期待されていたのがビットコインです。
ビットコインは2021年に日本円で777万円の最高値を付けた後、暴落を起こして2023年5月には当時の半分程度の360万円程度を推移しています。
暗号資産のボラティリティの高さが認識されるようになり、安定資産として考えられることが少なくなりました。暗号資産から金への資金移動も起こって金価格を引き上げる結果になっています。
日本円建てではドル円相場の変動の影響を受けたから
日本円建ての金相場で史上最高値を記録したのは、ドル円相場の変動の影響もあります。円安ドル高の影響を受けて、日本円建てでの金価格はドル建てに比べて相対的に高くなりました。
2022年初頭までは110円台だったドル円のレートが大きく上がり、一時的には140円台後半まで高くなりました。金が史上最高値を記録した2023年5月初頭では135円前後を推移しています。
2023年 | 金価格 | ドル円 |
---|---|---|
5/1 | ¥9,649 | ¥137.45 |
5/2 | ¥9,680 | ¥136.56 |
5/8 | ¥9,686 | ¥135.10 |
5/9 | ¥9,722 | ¥135.22 |
5/10 | ¥9,794 | ¥134.35 |
5/11 | ¥9,686 | ¥134.55 |
5/12 | ¥9,644 | ¥135.69 |
5/15 | ¥9,718 | ¥136.09 |
5/16 | ¥9,752 | ¥136.39 |
5/17 | ¥9,667 | ¥137.68 |
米ドル建てでは史上最高値を更新しませんでしたが、ドル円のレートの影響を受けて円建てでは最高値が更新されたという事情もあります。
金相場の高騰を見て考えるべき投資のポイント
金の相場が高騰している状況を見て、今後の投資をどのように考えるべきなのか迷った人もいるでしょう。金を買うべきなのかどうかを判断するために重要なポイントを解説します。
金相場は23年で9倍以上に上昇した
金に投資すべきかどうかを考える上で知っておきたいのが金相場の上昇率です。
金相場は2000年から2023年の23年間で9倍以上に上昇しました。
2000年5月10日の金相場は1,074円だったのに対し、2023年5月10日には9,794円になっています。2013年5月10日の時点でも金相場は4,988円でした。
つまり、2000年から考えると13年で5倍近くなり、さらに10年で2倍近く価格が上がってきたことがわかります。為替レートの影響もあるのは確かですが、金相場が大きく上がり続けてきたことは明らかでしょう。
長期的には金相場は上がる
金は長期的な視野で投資をする対象として魅力的です。金相場は短期的には大きな上下動を起こしますが、長期的に見れば上がり続けています。
貴金属として宝飾品に使う魅力がはるか昔からあり、さらに工業用途でも金の需要は高まっています。今後も金相場は上がると期待されるため、資産として保有すれば価値が上がっていくでしょう。
金投資をするのは長期的に見れば合理的で、確実性の高い資産形成方法になります。
金投資のリスクに注意する
資産をすべて金にすれば長期的に見れば資産が増えると安易に言えるわけではありません。金投資にもリスクがあるので、資産の使い方には注意が必要です。
5月10日時点で日本円建ての金相場は史上最高値になりましたが、ドル建てではまだ記録を更新していませんでした。米ドル円の為替レートが大きな影響を及ぼしていたからです。
金の取引価格は為替レートの影響を受けるため、為替で不利なタイミングで購入するとリスクがあります。為替リスクを加味して購入のタイミングを考えることが金投資では重要です。
また、金の地金や金貨を購入すると盗難リスクがあります。現金や証券も盗難に遭ってしまったら失われるのは同じですが、金の保管方法に注意して安全なところに保管するのが大切です。
関連記事金投資のやり方
高騰した金相場における投資戦略
金相場が高騰している状況を踏まえると、今後の投資はどのような戦略を立てるのが良いのでしょうか。
結論としては今後も上がる可能性が高い金に着目するのは重要です。ただ、たった今、すべての資産を金に投資すれば良いというわけではありません。
金が史上最高値を更新している最中なので、利益を出せるように工夫をして投資する戦略が必要になります。ここでは高騰した金相場において効果的な投資戦略を紹介します。
安値を狙って買う
金相場は日々変動しているので、安値を狙って買うのが合理的です。田中貴金属工業の5月10日における店頭小売価格は9,794円でしたが、ゴールデンウィーク前の4月28日には9,465円でした。
買取価格は5月10日では9,679円だったので、4月28日に買って5月10日に売っていたなら1グラムあたり214円の利益を得たことになります。
安値のタイミングを狙って購入し、高値になったときに売れば金投資は短期的にも利益を得ることが可能です。
高値を付けたときには反発して安値になりやすいことを念頭に置いて、相場の変動を見ながら資産を運用すると利益を生み出せるでしょう。
積み立ててリスクを分散する
金による長期投資で資産形成をするなら積み立てるのがおすすめです。安値だと思ってまとめて金を購入した後、相場が下落してもっと安く買えるようになる場合もあり得ます。
定期的に金を買い足していき、リスクを分散すると買うタイミングをあまり気にする必要がありません。ドルコスト平均法によるリスク分散は長期投資では効果的な方法です。
流動性の高い金投資をする
金投資をするなら流動性を重視しましょう。金地金や金貨の売買では買い手がいなければ売れません。金相場が上がって売りたいと思ったときに買い手が見つからないといった問題が起こる可能性があります。
金地金業者に査定をしてもらっている間に金相場が変動してしまう場合もあるでしょう。金が安くなって買おうとしたときに、欲しい数量の金が手に入らない場合もあります。
流動性が高い金資産を持つのは売買による利益を最大化するのに重要なポイントです。プール共有型金商品はいつでもオンラインで売買できるのでおすすめです。
保有している金は安全に保管されるため、流動性が高くて利益を追求できるだけでなく安心して投資できます。
プール共有型金商品を取り扱っている業者では、「ゴールデンシー」がおすすめです。詳細は下記記事よりご確認ください。
関連記事ゴールデンシーとは
まとめ
2023年4月後半から5月にかけて金相場は大幅に高騰しました。メディアでも話題になり、金を持っていれば将来的にも大きな資産形成になると思った人も多いでしょう。
金は確かに長期的に見れば価値が伸びていく資産です。ただ、為替レートの影響を受けるので、売買のタイミングについては注意が必要です。金相場が高騰している中で大量購入するのもリスクがあります。
安値のタイミングを狙って少額で購入するか、定期的に購入して積み立てていくのが良いでしょう。流動性の高い金商品は高値になったときに売って利益にしやすいのでおすすめです。
プール共有型金商品は流動性が高く、いつでも売買できるメリットがあります。保管の費用負担もなく、盗難リスクも回避できるので、今後の投資先として検討してみてください。
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