SX投資は現代の投資として注目を浴びています。SX時代が幕開けし、SXに取り組む企業が多くなりました。企業の自社投資としてのSX投資も重要です。
しかし、投資家にとってもSXから目を離せない時代になっています。
この記事ではSX投資の概要を紹介した上で、今後のSX時代における資産運用のアイディアを紹介します。SX投資に着目するメリットとリスクを天秤にかけて資産運用を考えていきましょう。
目次
SX投資とは
SX投資とはSX(Sustainability Transformation)に取り組んでいる企業に投資することです。
ここではSX投資の内容を理解するために基本から詳しく解説します。
SXとは
SXとは経済産業省によって打ち出された概念で、持続的な企業と社会を実現するための企業の取り組みです。
2020年の経済産業省の「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」が取りまとめた「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会 中間取りまとめ~サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の 実現に向けて~」や「伊藤レポート3.0』に詳細が定義されています。
SXでは「企業のサステナビリティ」と「社会のサステナビリティ」を同期化し、企業と社会を両立させることが前提条件になっています。そして、企業と投資家が対話を通して双方の理解を深めつつ、企業が競争力のある価値を生み出し続けられるように経営や事業の変革を長期的に進めることがSXです。
2022年に発行された価値協創ガイダンス2.0では企業と投資家が使用する共通言語を明確化するためにフレームワークを提供しています。実質的な対話によってSXに向けて共創できる体制を整えるための共通言語が明記されています。
SXを実現するには企業活動にかかわる経営者、従業員、投資家のコミュニケーションが不可欠です。同じテーブルで議論を進められるように国が体制を整えて推進しています。
SX銘柄とは
SX投資ではSX銘柄が注目されています。
経済産業省と東京証券取引所が選定・表彰をする企業のことです。
東京証券取引所のプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場している全ての企業が対象で、2023年2月10日に2024春頃の選定結果公表を目指しています。2023年10月~11月にはSX銘柄の公募が実施され、スクリーニングと審査を経てSX銘柄2024が選定される流れになっています。
SX銘柄はSXによって持続的に成長可能な原資を生み出し、企業価値を向上させる先進的な取り組みをしている企業です。社会的に求められているSXの課題と同期して自社の成長も遂げる努力をしている代表例として表彰し、他社のSX事業の模範とする目的があります。
SX投資の方法
SX投資はSX銘柄に選定された企業や、SXの取り組みをして注目されている企業に投資する方法です。
株式投資や社債による債券投資、SX銘柄を含む投資信託などを通して投資することができます。
また、投資型クラウドファンディングやソーシャルレンディングなどを通じてSX投資をする選択肢もあります。
投資方法は多様化しているので、SX投資に着目するときには、複数の方法を比較検討して適切に資産を分配することが大切です。
SX投資に着目するメリット
SX投資は今後の投資を考える上で重要な役割を果たす可能性があります。
他の銘柄への投資に比べてSX投資にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
SX銘柄は成長が期待される
SX銘柄として選ばれた先進的な取り組みをしている企業は成長すると期待されます。株価が上がり、社債の支払いの滞りもないと考えられる点で投資先の魅力的な候補です。
SXでは事業変革を進めながら、企業と社会のサステナビリティを同時に実現していきます。企業として社会に認められつつ、さらに競合との競争力の獲得もできる取り組みです。
SXによって成果を出せば投資家からの支持も高まり、株価が高騰する可能性もあります。
SX銘柄の表彰で高騰する可能性がある
SX投資ではSX銘柄に選定された企業に投資するのではなく、表彰されそうなSX企業を選んで投資することが重要です。
SX銘柄として選定されたら多くの投資家が着目して株式や社債の投資を進めるでしょう。すると、相場が高騰する可能性があり、価格が上がった時点で売れば利益を獲得できます。
SX投資のリスク
SX投資に着目するとリスクがあることも考慮して資産運用を考えることが重要です。SX銘柄を代表とするSXに取り組む企業への投資は成功の可能性があるのは確かです。
しかし、以下のようなリスクがあるので投資戦略を慎重に考えましょう。
初期成長にリスクがある
SX投資として株式投資を選んだ場合には最初に資産が減るリスクがあります。SXの取り組みをするときには企業が社内投資をする必要があり、一時的に純資産などの指標が低下する可能性があるからです。
SXに着目していなかった投資家が株式を売って逃げてしまい、株価が下落するリスクがあります。
特にSXに取り組んでいてもSX銘柄として表彰されなかった企業は投資家から低く評価される可能性があります。
一時的な成長の可能性がある
SX投資は一時的に成長するだけで持続的な成長はできない企業を選ぶリスクがあります。SX銘柄として表彰されるのは目覚ましい成功や大きな変革に成功した企業です。
しかし、新しい取り組みなので一時的な成功になってしまい、中長期的には経営が低迷するリスクがあります。
中長期計画を立てることは求められていますが、新しい環境変化に対応できるとは限らないので注意が必要です。
SX投資で失敗しないために重要なポイント
SX投資では分散投資が重要です。経済産業省が打ち出したSXに積極的に取り組む企業は社会にも貢献できる優良企業と考えられます。
しかし、SX投資なら成長が安定する企業に投資できると保証されているわけではありません。SX投資で失敗しないためにはSXに取り組む企業を複数選んで分散投資することが大切です。
さらに、株式や社債などの証券に対してリスクヘッジになる資産も保有すると安全性が高くなります。資産運用では安全を重視しながら、着実に資産を増やすことが重要です。
証券とは逆の挙動を示すモノとしての資産を保有する方法は効果的なリスクヘッジです。モノの資産に分散投資をして、SX投資を成功させる下地を作りましょう。
まとめ
経済産業省がSXを定義し、東京証券取引所との提携でSX銘柄を選定・表彰することになり、SX投資の魅力が高まりました。
社会と企業のサステナビリティの調和を実現しながら、企業としての競争力を獲得する取り組みをしている企業がSX銘柄として選ばれていきます。SX銘柄を中心としてSX投資を進めていけば、持続的に投資利益を出せる可能性があります。
ただ、SX銘柄だからといって確実に持続的な成長を遂げられるとは限りません。資産運用では株式や債券による企業への投資と並行してリスクヘッジ資産も保有することが大切です。
金は証券とは対称的な資産としてリスクヘッジに適しているので、ポートフォリオに取り込みましょう。
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