2024/05/28

小林製薬・紅麴問題から資産運用について考えるべきポイント

小林製薬・紅麴問題から資産運用について考えるべきポイント

小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」による紅麹問題は大きな話題になりました。食品として販売されているサプリメントによる健康被害が起き、同社だけでなく関連省庁や関連企業の対応も大変になっています。

小林製薬・紅麹問題は資産運用を考える上で重要なトピックです。

この記事では問題の概要と資産運用との関連を解説します。今後の資産運用で考えるべきポイントを押さえましょう。

小林製薬の紅麹問題とは?経過と関連省庁の対応

小林製薬の紅麹問題とは、小林製薬が製造した紅麹を成分として含む機能性表示食品のサプリメントを摂取した人に健康被害が起きた問題です。同社は紅麹の原料を他社にも販売していたため、紅麹配合のサプリメントを摂取していた人にとって驚愕の事態になりました。

小林製薬から紅麴原料を購入していた企業にとっても迅速な対応が求められる事態でした。厚生労働省や機能性表示食品の申請を受け付けている消費者庁でも今後の対応が求められています。

紅麹成分のサプリメントの健康被害の発生

事の起こりは小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を摂取していた人から健康被害が報告されたことでした。日本腎臓学会の調査によると2023年11月に最初の患者が病院を受診したとされています。

医師から小林製薬に報告があったのは2024年1月15日のことで、同社では2月5日から担当部署が原因の検証を始め、6日に事実を小林社長に報告しました。その後、1週間ごとに経営執行会議で経過報告をして検証を進めていました。

取締役会での症例報告と自主回収の決定

小林製薬では定例取締役会は原則月1回開催されています。経営を左右する大きな決議をするときには取締役会の審議を必要とするのが法人の基本原則です。

1月時点で医師からの報告を受け、2月初頭に原因の検証を始めていたにもかかわらず、取締役会で報告されたのは臨時取締役会が開かれた3月22日のことでした。同社では臨時取締役会の同日に自主回収を決定して事実を公表しています。

アオカビ由来のプベルル酸とみられる物質の検出の発表

発表を受けて厚生労働省や消費者庁が動きました。3月29日には厚生労働省による調査によって、健康被害があったロットからアオカビに由来する化合物「プベルル酸」と見られる物質が検出されたと報告されています。

プベルル酸はマウスによる実験で毒性が確認されている物質です。ただ、紅麹サプリメントによる健康被害では腎臓のトラブルが訴えられています。

プベルル酸の腎臓への影響は検証されていません。また、プベルル酸と見られるだけであって、同社の紅麹サプリメントに入っていたことが証明されたわけではありません。

他の紅麹を含む食品の調査の実施

小林製薬の紅麹原料は他社にも販売されていました。同社の紅麹原料を使用していた企業173社について、厚生労働省が点検を実施しました。

以下の観点から他社の製品については問題がなかったことを4月5日に発表しています。

  • ・健康被害があった小林製薬の3製品に使用された紅麹と同じ原料を用いて製造され、かつ、同社の製品と同等量以上の紅麹を1日あたりに摂取する製品
  • ・過去3年間において医師から健康被害が1件以上報告された製品

消費者庁による対応

消費者庁は機能性表示食品の届出を受けて対応しています。消費者庁では機能性表示食品制度のあり方について検討する対策チームを4月2日に立ち上げました。

2024年4月1日の時点では日本腎臓学会の調査では47人の患者がいて、40歳~69歳が9割ほどになっていました。厚生労働省の報告では4月4日の時点で5名が亡くなり、延べ196人の入院があったとされています。消費者庁としては機能性表示食品についての見直しの必要性に駆られたのは確かです。

同庁では小林製薬が紅麹成分を含む機能性表示食品8製品について安全性を再検証し、「紅麹成分が健康に影響を及ぼすという報告はなかった」と発表しています。機能性表示食品は成分ごとに認める仕組みなので、紅麹そのものには問題がなかったことがわかります。

ただ、小林製薬の紅麹問題が機能性表示食品の信用と安全性にかかわるのは明らかです。機能性表示食品の届出がある製品について一斉点検も実施し、今後の対応方針を検討しています。

小林製薬・紅麴問題と資産運用の関係

小林製薬の紅麴問題は資産運用のあり方とも深いかかわりがあります。

資産運用では資産形成とリスクマネジメントを考えることが必要です。この一件から理解すべきポイントは以下の2つです。

大手企業の株価の下落リスク

小林製薬は健康食品事業を中心とする企業では大手です。株式投資では大手企業への投資によって安定的に資産を増やす戦略がよく取られています。

ただ、小林製薬は紅麴問題によって3月22日(金)時点で6,056円だった株価が、3月25日(月)時点で5,056円まで下落し、3月27日(水)には4,875円になりました。

株価

3月21日(木)

6,058円

3月22日(金)

6,056円

3月25日(月)

5,056円

3月26日(火)

5,069円

3月27日(水)

4,875円

3月28日(木)

4,905円

3月29日(金)

5,095円

株式投資では企業の動きによって大きな株価の変動が起こります。問題を起こしたときの株価下落のリスクには対策が必要です。

波及効果による影響のリスク

小林製薬は他の企業にも紅麹原料を販売していました。小林製薬のサプリメントでの問題が公表されたことで、紅麹のサプリメントの開発会社や販売会社にも影響があったことは否めません。

また、紅麹問題を受けて消費者庁が機能性表示食品の再調査を実施しました。機能性表示食品を取り扱う企業にとっては痛手です。

また、機能性表示食品制度が改正される可能性も生まれています。健康食品業界全体が動揺することは明らかです。

ポイント

企業活動のあり方も投資家の投資動向も変わるため、今後の各社の株価が変動するリスクもヘッジが必要になります。

小林製薬の紅麴問題を受けて考えるべき資産運用

小林製薬の紅麴問題は資産運用のリスクの一面を明確にしました。この事実を受けて今後の資産運用で考えるべきポイントは以下の5つです。

  • ・株式投資や社債を含む債券投資ではプレスリリースを確認する
  • ・投資信託でも企業動向の調査を怠らない
  • ・安全資産を軸にして運用する
  • ・リスクヘッジをして想定外の状況に対策する
  • ・流動性の高い資産を持って臨機応変に資産を動かす

業界大手の企業でも問題を起こすリスクはあります。国が定めた制度に届け出ていたとしても、必ずしも万全ではないので同様の問題が発生する可能性は否定できません。

ポイント

資産は安全資産を軸にして、リスクヘッジをして運用することが重要です。

一攫千金になるチャンスがある株式などの資産配分を大きくし過ぎないように注意してポートフォリオを整えましょう。

まとめ

小林製薬の紅麴問題は食品としてのサプリメントの安全性を疑わせるほどのインパクトがある事件でした。資産運用の面でも小林製薬ほどの健康食品の大手が問題を起こして株価を急激に下落させるリスクがあることを示した事例です。

資産運用ではリスクを回避しながら着実に資産を増やすことが大切です。安全資産を軸にして余剰資金の範囲内でリスクのある株式投資や債券投資をしましょう。

ポイント

安全資産では金がおすすめです。中長期的に資産価値が向上している資産だからです。

金資産の取引方法は多数あります。プール共有型金資産は流動性も高いので資産運用に適しています。ポートフォリオに組み込んで安全な資産運用を進めましょう。

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