2025/04/27

投資・資産運用のあり方の多様化を受けて検討すべきポイント

投資・資産運用のあり方の多様化を受けて検討すべきポイント

資産形成によって今後に備える考え方が広まり、資産運用のあり方も多様化してきました。プロの投資家のようにさまざまな種類の投資商品を活用して積極的に資産を増やす人もいれば、余剰の資金を預けたままにして自分自身では特に売買による運用していない人もいます。

投資のあり方の多様化によって、資産形成の方法も慎重に検討しなければならない時代になりました。この記事では、これから資産運用を始める人や、資産運用の見直しをしたい人のために検討すべきポイントを紹介します。

投資による資産形成が加速されている理由

投資による資産形成

投資が進められているのは、資産をただ銀行に預けるだけでは増やす機会を失うからです。

普通預金や定期預金で安全性を重視した資金運用をすることも重要ですが、今後に備えて資産を積極的に投資して増やす必要性が高まっています。物価の高騰や老後の年金のリスクの不安が資産形成の必要性を高めている主な要因です。

このような背景を受けて、資金対策として投資が加速されている理由を紹介します。

資金対策として投資が加速されている理由

※各項目をクリックするとそれぞれの項目冒頭へ移動します。

NISAの活用が進んでいるから

投資を推進する国策が進められている影響で投資を始める人が急増しました。NISAは代表例で、導入後に老後2000万円問題も話題になって資産形成を目指す傾向が加速されています。

NISAとは

少額投資非課税制度で、投資にかかる税金が少額投資については免除される制度です。

株式投資や投資信託などによる投資の利益は申告分離課税で、投資利益を得たときには所得の20.315%の所得税を納めなければなりません。しかし、証券会社でNISA口座を開設して運用すれば、運用枠内の取引による所得には税金がかかりません。

ポイント

年間投資枠として成長投資枠が240万円、つみたて投資枠があり、総額の限度額として1,800万円(成長投資枠は1,200万円)が設定されています。

NISAの範囲内で投資して利益を得たときには所得税が免除されるので、通常の口座で株式投資や投資信託をしたときと比較すると利益が実質的に1.25倍程度になります。少額でも投資で利益を得やすい仕組みがあるので、投資による資産形成が進められています。

多様な投資サービスが生まれてきたから

NISAで投資できるのは年間で最大360万円までで、投資商品も投資信託や上場株式などの一部に限定されています。しかし、NISAにこだわらなければFXや金投資などのさまざまな投資が可能です。投資による資産形成をする人が増えたことを受けて、新しい投資サービスが生まれました。

自分の資金状況や投資目的、ライフスタイルなどに合う投資サービスを選べるようになり、投資を始める傾向を後押ししています。

投資はまとまった資金がなければ始められないと思われていましたが、現在では100円からでも積立投資ができます。

ポイント

1万円くらいの投資資金があれば株式投資や投資信託、金投資などのさまざまな投資を始められます。

多様な投資サービスを組み合わせれば、さらに多様なポートフォリオを作り上げることが可能です。目標に合わせて賢い投資戦略を考えられる時代になっています。

AI活用による投資が注目されているから

AIの到来によってAI活用による投資も登場してきました。ロボアドバイザー投資は代表例で、AIを搭載していて学習データに基づくリアルタイム運用をするサービスが利用できます。自分では投資はよくわからないけれど、資産運用をして増やしたいという人も投資にデビューしやすくなりました。

ポイント

AIは学習を積み重ねると予測精度が高くなるため、投資効果も上がりやすいと期待されています。

AIは投資情報の収集、株価や為替レートの相場予測などにも利用されているツールです。AI活用によって投資戦略を考えやすくなった影響も受けて、資産形成を目指す人が増えてきています。

現代の資産運用で検討が必要なポイント

ポイント

現代では投資に取り組みやすくなったため、気軽に始める人が増えています。ただ、始めやすい状況になったからこそ、資産運用をするときには十分に検討をする必要があります。

何にいくら投資するかをよく考えることは特に重要です。ここでは現代の資産運用で検討すべきポイントを解説します。

資産のポートフォリオを考える

投資は対象を一つに絞りこんでしまうとリスクが高くなります。安定している資産なら一本化して投資することも可能ですが、国内外の政情や紛争の勃発などのさまざまな要因で価値の変動が起こるリスクがあります。

ポイント

リスクヘッジを意識して複数の資産を組み合わせたポートフォリオを考えることが大切です。

例えば、株価が暴落して株式投資が赤字になったとしても、リスクヘッジとして保有していた金が高騰すれば相殺されて損失を減らせます。大きなリスクについて相補関係にある資産を組み合わせてポートフォリオを組むと大赤字になるリスクを減らしつつ、資産を増やせる可能性を高められます。

長期投資と短期投資を分ける

資産を長期投資と短期投資に分けるのは資産運用の賢い方法です。

長期投資は資産を長期的に見て増やすための投資で、数年後や数十年後に資産が増えていれば良いと考えて運用します。長期投資では日々の相場の変動は気にせず、長い目で資産が増えれば良いという視点で投資をするのが特徴です。

一方、短期投資は極端に言えば一獲千金を狙うための投資です。日々の相場変動を細かく確認して、相場が上がったときに売り、下がったときに購入する取引を繰り返して利益を積み上げていきます。数時間~数日程度の期間での取引をするデイトレードが典型的な方法です。

短期投資は大きな値動きによって大金星を上げられる場合もありますが、大損することもあるのでリスクが高いのがデメリットです。

ポイント

長期投資による資産形成を軸にして余剰資金を増やし、短期投資に使える資金を確保するのがおすすめです。

余剰資産以外には手を付けない

投資では余剰資産を運用するのが大原則です。生活資金に手を付けて失敗したら、生活が立ち行かなくなる可能性があるからです。余剰資産以外には手を付けず、生活資金とは切り分けて運用しましょう。

注意

投資の種類によっては、投入した資金よりも大きな損失が発生する場合もあるので注意が必要です。

レバレッジをかけられるFXや先物取引、信用取引に対応している株式投資などで起こり得る問題です。余剰資産の総額を把握して、損失が出たとしてもその範囲内に収まることを確認してから投資を始めましょう。レバレッジや信用取引に不安がある場合には、投資に慣れるまでは手を出さないのも賢い対策です。

早期に投資を始めて経験を積む

投資を先延ばしにせずに、早い段階から始めて経験を積むのは成功のコツです。

まとまった資金ができてから大きな投資をすると、失敗したときに大損をします。しかし、少額投資から始めればもし失敗したとしても損失は少なくて済むので、一大事にはなりません。少しずつ少額でさまざまな投資を進めるとポートフォリオも広がります。

ポイント

経験を積むと大きな投資でも成功する可能性が高くなるので、投資を早期に始めて実践経験を積み重ねましょう。

焦らずにトータルで資産を増やす

投資は焦って失敗するケースがよくあります。

初めて株式や投資信託、金などを購入した直後に価格が下落すると、焦って売りたい気持ちに駆られるでしょう。しかし、売ったらすぐに価格が上がってしまい、売らずに保有していれば良かったと後悔することも珍しくはありません。

相場の変動を見て多くの投資家が売買しているので、価格が上がったときは売られやすく、下がったときには買われやすくなって相場が動きます。短期投資ではこのような値動きを狙って売買をします。

しかし、長期投資では多少の値動きがあったとしても、トータルで資産を増やせれば良いと考えて、落ち着いて構えることが大切です。

ポイント

焦って売買をするよりも、相場が動いた原因を調べて今後の投資方針を再考しましょう。

これからさらに状況が悪くなる、あるいは別の資産の状況が良くなる根拠がはっきりした時点で資産を動かすのが賢明な方法です。

まとめ

投資による資産形成が注目されるようになり、新NISAによる資産運用を進める人も多くなりました。NISAは非課税なので運用利益を上げやすいメリットがあります。ただ、投資の自由度は低いので、他の投資も加味してポートフォリオを考えることが大切です。

ポイント

投資の目標や目的を決めて、多様化する投資・資産運用から自分に合う組み合わせを選び出しましょう。

安定性・信頼性が高い投資をポートフォリオに組み込むことは資産を守るうえで重要なポイントです。金などの安全資産を生かして投資戦略を検討しましょう。