資産は流動性が高いほど便利ということをご存知でしょうか。現金を代表とする流動性の高い資産を多く持つと資産運用の幅が広がります。
今までに資産運用をした経験があまりないと、資産の流動性とはどのような性質なのかがわからない場合もあるでしょう。資産運用の経験者でも誤解をしていることがよくあります。
この記事では資産の流動性について詳しく紹介します。流動資産が資産運用で重要な理由も解説するので、今後の投資に生かしてください。
目次
資産の流動性とは
資産の流動性は他の資産に交換しやすいことを指します。資産運用では現金にしやすい資産を流動性が高いと言うのが一般的です。
今日中に家賃の支払いが必要、クレジットカードの支払いが必要という状況に立たされたときに、手持ちの現金では足りなくて困ってしまうことがあります。あるいは、明日の金融政策の発表でドル円の相場が上がると予想されてまとまった資金が欲しいと思うときがあるでしょう。
このような際に流動性が高い資産を持っていればすぐに現金にして支払いをすることも、別のアセットで運用することもできます。
流動性が高い資産の特徴
資産の流動性の高さには4つの観点があります。一言で流動性が高いと言っても、すべての性質を兼ね備えているわけではありません。流動性が高い資産に求められる特徴を確認しておきましょう。
取引をいつでもできる
流動性の高い資産は取引できる時間の自由度が高いのが共通点です。
今すぐに売って現金にしたいと思ったときに、店頭に行って査定を受けて売らなければならないのでは時間がかかります。骨董品が典型例で、骨董品の買取店が休みだったら翌日以降まで現金にすることはできません。
24時間365日いつでも取引できて、即時で売れるのが最も流動性が高いと言えますが、そこまで流動性が高い資産はほとんどありません。
取引数量に制限がない
流動性がある資産は取引数量の制限がないか、あまり問題にならない程度の制限しかないのが特徴です。資産を好きな分だけ現金に換えられるなら流動性が高いと言えます。
例えば、株式取引では1単元が100株になっていて、通常の取引では100株ずつしか売買できません。1株が1万円の場合には100万円からでなければ現金にできません。しかし、単元未満株であれば1株から取引が可能です。なお、取引の数量や金額に制限は同じアセットでも取引会社によって異なります。
取引手数料が低い
取引手数料が無料か、低くて気軽に取引できる資産は流動性が高いと言えます。取引手数料が高いと売買をするときに抵抗感があるからです。
購入手数料も売却手数料も無料の場合には流動性が高い資産です。株式や投資信託などの証券では売買ごとにコストがかかることがよくあります。手数料体系もアセットごとに業界ルールがあるわけではなく、各会社が決めているので個々に違います。
取引相手を探す必要がない
流動性が高い資産は取引相手を探す必要がほとんどないのが特徴です。FXやCFD取引のように金融会社が相手の取引の場合には、取引相手を探す必要なく即時で取引ができます。
しかし、土地を資産として運用するときには売却相手が見つからなければ現金にすることができません。
資産の取引相手を探す必要がある場合には流動性が低くなるリスクが高いので注意が必要です。
流動性が高い資産を持つべき理由
流動性は資産の使いやすさに大きな影響がある要素です。
基本的には流動性が高い資産を一定以上の金額は確保して資産運用をするのが安全策です。流動性がある資産を持つべき理由は何なのでしょうか。
現金が必要になったときに工面できるから
資産運用をするときには現金以外のアセットを持つのが一般的です。日本円での支払いが必要になった場合に、手持ちの現金だけでは足りないとわかったら他の資産を日本円にしたいと思うでしょう。
流動性が低い資産しか持っていないと、日本円にするまでに月日がかかったり、手数料が高くて困ってしまったりする場合があります。特にすぐに支払いが必要なシーンでは、一日でも早く現金にできることが重要です。
病気や怪我で緊急入院したときのように、予期できない形で大きな支払いが発生することもあります。流動性がある資産を持っていれば臨機応変に対応できるので安心です。
価値変動のタイミングを狙って取引しやすいから
流動性の高い資産は柔軟に運用できるので資産形成をしやすいのが特徴です。流動性があれば資産価値が変動するタイミングで速やかに取引できます。
紛争が勃発したニュースが報道されて、関連国の株式の価値が下がる可能性が高いと思ったときには、すぐに手放したいでしょう。市場が閉じていて取引できないと指をくわえて待たなければなりません。
しかし、FXで外国為替取引をしていたのであれば、週末を除くと24時間取引ができるのでリスク回避が可能です。
状況の変化に応じて速やかに収益性の高い資産に切り替えることもできるため、資産形成を進めやすいのが流動性の高い資産を持つべき理由です。
相続時にトラブルになりにくいから
流動性の高い資産は相続対策にもなるので、生前整理を考えているなら資産の流動性を上げましょう。資産の流動性が高いと相続人の間でトラブルが起こりにくくなります。
相続をするときには遺産を分割しなければなりません。土地のような価値が高い資産は分筆して分けるか、一人が相続して現金で補填をするかといった議論になって揉め事になる場合もあります。現金は最も均等に分割できるので遺産相続協議で揉めることがあまりありません。
流動性が高い資産なら抵抗感なく現金にできるので、現金にして分けるという方法を選べます。
代表的な3つの資産の流動性
株式や金などの個々の資産について流動性が高いのかどうかがわからずに悩んでしまう人もいるでしょう。ここでは代表的な資産の流動性について広い視点で解説します。
株式や債券
株式などの証券は比較的流動性がある資産です。
株式市場が開いているときであれば注文を出すと速やかに購入も売却もできます。ネット証券会社では手数料が安く抑えられていることが多く、証券会社の担当者を介することなくスピーディーに注文を出すことが可能です。
年末年始やゴールデンウィークのように長く市場が閉まるときには流動性が低下する点に注意が必要ですが、経済が動いている平日は取引しやすいので比較的安心です。ただし、海外株式の場合には時差の影響も考慮する必要があります。
アメリカのようにほぼ正反対の時刻の国では、日本の昼間には取引が確定せず、流動性が低い資産になります。
不動産
不動産は流動性が低い資産の代表例です。
土地や建物は次の所有者を見つけなければ売れないからです。不動産買取業者を利用して買い取ってもらう場合でも現金にするまでには数日かかります。仲介を依頼した場合には1ヶ月~3ヶ月くらいかかるのが一般的です。
需要が低い地域では売れなくて困ることもあるので、不動産は流動性に注意が必要です。
金資産
金資産は保有の仕方によって流動性に大きな違いがあります。
金地金や金貨を現物として保有する場合には買い手を見つけなければなりません。しかし、金地金業者や買取業者などの店舗に持参すれば即日で現金にできます。プール共有型金資産ではオンラインで売買できるので店舗に行く必要がなく、さらに流動性が高くなります。
純金積立でもオンラインでの注文が可能ですが、現金になるまでに数営業日かかることもあるので注意しましょう。
まとめ
資産の流動性とは現金としてすぐに使えるようにできる性質のことです。現金そのものが最も流動性があります。流動性はいつでも現金にできるか、現金にする上で制限がないか、手数料がかからないかといった観点でも考えることが必要です。
同じアセットの資産であっても種類によって流動性が異なります。資産の流動性を重視すると、現金が必要になったときに対応しやすく、資産運用も進めやすいのがメリットです。
相続対策としても有効な方法なので、流動性のある資産をポートフォリオに入れていきましょう。
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