金鉱株(産金株)投資が話題に上るようになって興味を持っている方もいるでしょう。
金に関連する投資は金相場の高騰によって大きな注目を浴びています。金鉱株(産金株)投資は金に着目しておこなう投資として独特の特徴があるので、詳しく理解してから始めることが大切です。
この記事では金鉱株(産金株)の特徴を他の金投資と比較しながら紹介します。金鉱株(産金株)で資産形成をするときのポイントも押さえて上手に活用していきましょう。
目次
金鉱株(産金株)投資とは?金投資との違い
金鉱株(産金株)投資とは金鉱株や産金株と呼ばれる株を購入して保有する株式投資です。株式の価格変動を通じてキャピタルゲインを得たり、配当金を受け取ってインカムゲインによる資産形成をしたりすることができます。
大株主になれば株主総会での発言力が高まり、企業経営に関与することも可能です。
金鉱株(産金株)とは
金鉱株(産金株)とは金の採掘や精製をしている企業や金鉱脈を所有している企業の株式です。
日本では住友金属鉱山が金鉱株の代表例として有名です。米国ではバリック・ゴールド(GOLD)やアングロゴールド・アシャンティ(AU)などがあります。
金鉱株(産金株)投資の仕組み
金鉱株(産金株)投資は株式の保有によって利益を生み出します。企業の株式を購入して投資するため、企業の株価が上がる前に購入し、上がった時点で売ればキャピタルゲインを得られます。また、信用取引をすれば株価が下がる前に売り注文を出し、下がった時点で決済をしてキャピタルゲインを得ることも可能です。株式は保有量に応じて配当金によるインカムゲインも受け取れる場合があります。キャピタルゲインとインカムゲインを組み合わせて利益を得るのが金鉱株(産金株)投資の基本的な仕組みです。
また、金鉱株(産金株)ファンドも利用できます。金鉱株(産金株)ファンドは投資信託で、金の生産に関連する企業の株式を集めて運用しているのが特徴です。分散投資ができるので比較的リスクの低い投資ができます。
金現物投資との違い
金現物投資はインゴットなどの金現物を購入して、高値になったときに売却してキャピタルゲインを得ることを目指します。金相場がそのまま金現物の価値になるため、金相場に基づく取引をして利益を得るのが基本です。
金鉱株(産金株)投資は金の生産や実用化に深くかかわっているため、金相場と関連性があります。しかし、あくまで個々の企業の業績や経営方針によって株価が動くので、金相場と株式相場には乖離が生じます。
また、金鉱株(産金株)は証券なので、企業が倒産すると価値が失われます。金鉱株(産金株)は資本金があって経済力のある企業が多いのでリスクは低いですが、金が採れなくなると倒産の危機に陥る可能性があります。株価は現物価格とは違って企業の状況に大きく影響される点に注意しましょう。
企業活動に期待するなら金鉱株(産金株)投資、金そのものの価値に期待するなら金現物投資を選ぶのが適切です。
純金積立との違い
純金積立は毎月、毎週などの一定期間ごとに一定金額の投資をして金現物を購入する積立投資です。キャピタルゲインの獲得を目標とする点は金現物投資と同じですが、毎月1,000円くらいから投資を始められます。積立投資なので金相場の変動をあまり気にせずにドルコスト平均法で平均化した投資額で金現物を手に入れます。
金鉱株(産金株)投資でも毎月同じ日に同じ金額の株式を購入するというルーチンを組めば積立投資ができます。積立投資をしたいときには金現物なら純金積立を使うと自動化されているので簡単です。株式では手作業で注文する方法が一般的で手間はかかりますが、相場が上がっていて高いときには買わないといった判断もできるのはメリットです。
金ETFとの違い
金ETFは上場している金関連の投資信託です。主に金相場に紐づいて基準価額が変動するインデックスファンドを指します。金相場に連動している点では金現物に近い性質がありますが、金鉱株(産金株)や関連株を組み合わせているので企業業績による影響も受けるのが特徴です。
金ETFは分散投資になるのが金鉱株(産金株)との違いです。金ETFでは金関連のどの企業にいくら投資するかを自分で考える必要はありません。目論見書を見てポートフォリオを確認して申し込むと、運用会社が株式や債券などの売買を通して金相場に合う基準価額を維持できるように運用します。一社に投資するわけではないのでリスクが低い投資になるのが金ETFの特徴です。
また、金ETFでは運用会社に信託報酬の支払いが必要になります。金ETFはパッシブファンドなので、アクティブファンドに比べると信託報酬は低めですが、長期保有をすると手数料がかさむので利益を得にくくなる可能性があります。
関連記事プール共有型金商品と純金積立のメリット・デメリットを比較
金鉱株(産金株)投資の注意点
金鉱株(産金株)投資に興味を持った理由が金相場の高騰だった場合には、想定したような資産形成ができるとは限らないことは紹介しました。
ただ、株式投資として金鉱株(産金株)を選ぶときにも注意点があります。
株式指数と相関するとは限らない
株式相場が上がれば金鉱株(産金株)の株価も上がると考えるかもしれません。しかし、金鉱株(産金株)は特殊な株式で、株式のリスクヘッジ資産として使われる金の相場とも関係性があります。
S&P500などの株式指数が上がっているときでも、金鉱株(産金株)の相場が下がることもあるので注意しましょう。
特に業績による影響は大きいので注意が必要です。2024年2月に株式指数も金相場が上がっている状況でも、世界最大手の金鉱山会社ニューモントの株式は株価が下落しました。エネルギー単価や人件費の上昇によって金の採掘コストが上がったのが主な原因です。金鉱株(産金株)投資では独自の視点で株価の動きを読む必要があります。
企業の業績や金相場等、独自の視点で株価の動きを判断する必要があります。
手数料がかかる
金鉱株(産金株)で初めて株式投資を始める場合には手数料に気を付けましょう。株式の購入では購入手数料がかかるのが一般的です。取引に伴って費用が発生するので、売買の差額がそのままキャピタルゲインになるわけではありません。
また、金鉱株(産金株)ファンドを利用する場合には、購入手数料だけでなく信託報酬もかかります。
手数料の負担が少ない証券会社やファンドを選んで資産運用をすると資産形成の効率を上げられます。
金鉱株(産金株)による資産形成のポイント
金鉱株(産金株)投資は資産形成に活用できます。
ここでは金鉱株(産金株)投資をするときに重要なポイントを解説します。
企業分析をして投資する
金鉱株(産金株)投資は個別企業の経営や業績による影響が大きいので、企業分析をして銘柄を選びましょう。
大手だから大丈夫と安易に考えて投資するのはリスクが高い方法です。採掘のコスト高や生産量の減少などによって業績が低迷して株価が下がる可能性があり得るからです。
機械化によるコスト削減の取り組みや、保有金鉱山の埋蔵量などを確認して投資先を選定しましょう。
類似性の高い投資でリスクヘッジをする
金鉱株(産金株)投資では類似性の高い投資でリスクヘッジをすると効率的です。
金鉱株(産金株)は金相場とも株式相場とも関連性はありますが、完全に相関するわけではありません。金現物や他企業の株式にも投資すればリスクヘッジになります。
類似性がある投資を選ぶと情報調査の負担を軽減できるのがメリットです。金に関連する情報を集めていれば、金現物投資にも金鉱株(産金株)投資にも対応できます。
金鉱株(産金株)投資をするときには、プール共有型金商品のように流動性が高い金現物投資がおすすめです。企業や金相場の動きに応じて柔軟に資金を動かせるからです。他の企業の株式も合わせて保有するとさらにリスク低減になります。金資産と株式の併用がリスクの低い投資を実現するためのポイントです。
類似性の高い商品を選んでリスクヘッジをしましょう。
まとめ
金鉱株(産金株)投資は金の生産にかかわる企業に着目する株式投資です。
金の相場が上がっていることを受けて注目されていますが、現実的には金の生産コストが上昇しているため、金鉱株(産金株)の株価は金の価格と連関しているわけではありません。金鉱株(産金株)投資では企業の経営や業績による影響が大きいため、株価が高騰しているときでも金鉱株(産金株)が下がる場合があります。金鉱株(産金株)投資では個別に企業分析をして慎重に投資することが必要です。
また、金現物のように関連性が深い資産を同時に運用するとリスクヘッジになります。プール共有型金商品は金相場に直接紐づいている金現物投資です。金鉱株(産金株)投資と合わせて活用してください。